首都直下地震はいつでも起こりうる!発生確率や想定被害、今できる備えを解説
首都直下地震は「いつ起きてもおかしくない」と言われる大地震のひとつです。政府の調査では、今後30年以内に発生する確率は70%とされており、私たち一人ひとりが備えることが大切です。この記事では、首都直下地震が起きる可能性や被害想定、今日からできる対策をわかりやすく紹介します。
首都直下地震とは?どこで起こる地震なのか

首都直下地震とは、東京都だけでなく南関東全体を震源とするマグニチュード7クラスの大地震を指します。複数のプレートが重なり合う地域のため地殻変動が活発で、歴史的にも大規模地震が繰り返し発生してきました。まずは、その特徴と背景を整理しておきましょう。
南関東を中心に想定されるマグニチュード7級の地震
首都直下地震は、東京都を始め神奈川・千葉・埼玉・茨城・山梨など、南関東を震源とするマグニチュード7級の直下型地震を指します。
このエリアは4つのプレートがぶつかり合う地点で、地殻変動が非常に活発です。震源が浅く、都心に近いほど揺れが強くなるため、被害が集中しやすいのが特徴。人口や建物が密集する首都圏では、同規模の地震でも地方より被害が拡大しやすいとされています。
過去にも繰り返し起きてきた関東の大地震
関東では、1703年の元禄地震や1923年の関東大震災など、約100〜200年周期で巨大地震が発生してきました。その間にも安政江戸地震(1855年)や東京地震(1894年)など、マグニチュード7級の地震が複数回起きています。
周期的に大きく揺れる地域であるため、今後も再び発生する可能性は高いと考えられています。「首都直下地震は特別な災害ではなく、歴史上繰り返し起きてきた地震である」という認識を持つことが、防災意識を高めるうえで大切です。
首都直下地震はいつ起こる?「30年以内に70%」と言われる理由

「首都直下地震はいつ起こるのか」という疑問に、確実な答えはありません。現在の科学では地震の発生時期を正確に予測することはできないためです。
しかし、政府の調査から“近い将来に発生する可能性が高い”ことは明らかとされています。ここでは、その根拠と背景をわかりやすくまとめます。
地震は予測できないが「高い確率」で起こりうる
政府の地震調査研究推進本部は、南関東でマグニチュード7クラスの地震が「今後30年以内に70%の確率で起きる」と評価しています。この数値は、過去の地震履歴や地殻変動の観測データをもとにした“長期評価”に基づくものです。
ただし、「30年後に発生する」という意味ではなく、「明日起きても不思議ではない」というリスクの目安にあたります。専門家も、確率に振り回されるより“いつ起きてもおかしくない”ものとして備える姿勢が重要と指摘しています。
未知の活断層にも注意
最近では、都内で“飯田橋推定断層”など、ハザードマップには載っていない活断層の存在も指摘されています。これらは長期間動いていないため発見が遅れたもので、いつ活動するかは誰にも予測できません。
能登半島地震や熊本地震のように、予想外の場所でいくつかの断層が同時に動くケースもあります。「30年以内に70%」という数値に安心するのではなく、未知のリスクも踏まえた備えをしておくことが大切です。
首都直下地震で想定される被害

首都直下地震が発生した場合、影響は建物の倒壊だけではありません。火災の発生やライフラインの寸断、交通機能の停止など、複数の被害が連鎖的に起こり、都市機能が一時的に麻痺すると想定されています。ここでは、内閣府や東京都のシミュレーションをもとに、その主な被害を整理します。
死者2.3万人・家屋61万棟焼失の想定
内閣府の被害想定では、マグニチュード7.3の首都直下地震が起きた場合、死者は最大2万3,000人に達し、全壊・焼失する建物は約61万棟とされています。死亡原因の約7割は「火災」で、揺れそのものよりも出火と延焼による被害が深刻です。
特に木造住宅が密集する“木密地域”ではリスクが高く、逃げ遅れが命に関わることも。さらに、夜間や冬季など火を使っている時間帯に発生した場合は、被害がさらに拡大するおそれがあります。
出典:内閣府情報防災ページ「特集 首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)」
ライフライン・通信・交通網の麻痺
発災直後には都区部の約5割で停電が発生し、その後も1週間以上不安定な状態が続くと見込まれています。通信面では、固定電話・携帯電話ともに通話規制が9割以上に達し、メールやデータ通信の遅延も避けられません。
上下水道も深刻で、都区部のおよそ5割が断水し、約1割では下水道が使用不能になるとされています。交通網への影響も大きく、地下鉄はおおむね1週間、在来線は1ヵ月程度復旧に時間がかかる予測です。帰宅困難者は約500万人にのぼり、物流の停滞による物資不足も懸念されています。
出典:内閣府情報防災ページ「特集 首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)」
東京都の想定では避難者約299万人
東京都が2022年に公表した「都心南部直下地震」のシミュレーションでは、死者約6,000人、負傷者9万人超、避難者は約299万人と試算されています。阪神・淡路大震災(避難者約30万人)の10倍規模で、避難所の不足や支援物資の遅れが大きな課題です。
また、高層ビルのガラス落下やエレベーターの閉じ込め、帰宅困難による二次被害にも注意が必要。都市が極度に密集する構造のため、被害拡大の中心は「揺れ」ではなく「都市機能の停止」である点も指摘されています。
出典:東京都「首都直下地震等による東京の被害想定(令和4年5月25日公表)」
首都直下地震から命を守るために今からできる備え

首都直下地震は「いつか起こる地震」ではなく、「いつ発生してもおかしくない」と言われています。被害を最小限に抑えるためには、日頃からの備えが何より重要です。ここでは、家庭や職場で取り組める現実的な対策を4つの視点から紹介します。
① 家の安全を見直す
1981年(昭和56年)以前の“旧耐震基準”で建てられた建物は、倒壊リスクが高いとされています。まずは自治体が行う耐震診断や補強工事の助成制度を活用し、自宅の安全性を確認しましょう。
引っ越しや建て替えが難しい場合でも、家具の固定や配置の見直しで安全性は大きく向上します。特に寝室や通路には背の高い家具を置かず、避難経路を確保しておくことが大切です。
② 火災を防ぐ工夫を
首都直下地震では、死因の約7割が火災によるものとされています。地震の揺れで自動的に電気を遮断できる“感震ブレーカー”の設置は、火災防止に非常に有効です。
揺れが収まった後は、ブレーカーを落とし、ガスの元栓を閉めるなど、火元の確実な処理を心がけましょう。天井まで届く炎は初期消火が困難なため、無理せず避難を優先する判断も重要です。
③ 食料・水・防災グッズを3日分用意
政府は最低3日分の備蓄を推奨しており、水は1人1日3リットルが目安です。加熱せず食べられる缶詰やレトルト食品、栄養補助食品を揃え、ライトやラジオ、モバイルバッテリー、ポリ袋、新聞紙などの防災用品もまとめておきましょう。車を使う家庭では、ガソリン残量が半分程度になったら満タン給油を心がける「満タン習慣」が安心につながります。
寒冷地では、灯油を1缶多めに備えると停電時でも暖を取れます。備蓄は「ローリングストック法」を活用し、賞味期限前に消費して入れ替える仕組みをつくると無理なく続けられます。
▼こちらも参考に。
【防災グッズ】本当に必要なもの7選|災害に備えて家庭で行うべき対策も
ローリングストックの実例集|食品・日用品・燃料を無理なく備える方法を紹介
④ 家族と避難場所を共有しておく
自宅・職場・学校周辺の避難場所を確認し、家族全員で共有しておくことは欠かせません。避難経路は木造住宅が密集する場所や高架下を避け、安全なルートを設定しましょう。発災時に無理な帰宅を試みると危険なため、勤務先や学校にとどまる判断も必要です。
東京都が配布する「東京防災」などのガイドブックを活用し、平時から避難行動をシミュレーションしておくとより安心です。
いつでも起こりうる首都直下地震には十分な備えを

首都直下地震は、30年以内に70%の確率で発生すると言われる現実的な災害です。発生時期を予測することはできませんが、備えによって被害を減らすことはできます。家具の固定や耐震診断、感震ブレーカーの設置、3日分の食料と水の備蓄、ガソリンや灯油の確保など、日常の中で少しずつ整えておくことが大切です。「正しく恐れて、確実に備える」意識を持ち、今できることから始めましょう。
▼南海トラフ地震のコラムも参考に。
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