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ポリ袋調理をする様子

ポリ袋調理で災害時も温かい食卓を。備蓄食材を活用した非常食レシピ集

災害時や停電時でも、温かい食事を簡単に作れる「ポリ袋調理」。少ない水や火力で調理でき、食器もほとんど汚れません。無洗米や乾物、缶詰など常温保存可能な食材を備えておくと、非常時でも栄養バランスの取れた食事が確保できます。本記事では、手軽で安全なポリ袋調理のレシピと備蓄のコツを詳しく紹介します。

非常食に役立つポリ袋調理とは

ポリ袋に入った食材

ポリ袋調理とは、食材を入れた耐熱性のポリ袋ごと湯せんで加熱する調理方法です。断水や停電時でも鍋と少量の水、火さえあれば温かい食事を作れます。1つの鍋で複数の袋を同時に加熱できるのでご飯・おかず・スープをまとめて調理できる、鍋や食器をほとんど汚さないため洗い物が少なく、お湯は再利用できるといった利点から、災害時の非常食作りに適しているとされています。

ポリ袋調理に必要な道具

災害時でも温かい食事を作れる便利なポリ袋調理。しかし使うポリ袋を誤ると、熱で溶けたり破れたりするおそれがあり、危険です。購入の際は、必ず湯せん調理ができるタイプを選びましょう。

■耐熱ポリ袋

半透明の高密度ポリエチレン製のポリ袋を使用します。購入時は材質をチェックし、「湯せん調理可」などの表示があるものを選びましょう。スーパーやドラッグストア、コンビニ、100円ショップなどで手に入ります。

■深さのある鍋と水

安全に調理するため、ポリ袋を完全に沈められる深さのある鍋を使います。

■加熱器具

停電時には調理用のカセットコンロや、灯油を使う暖房・調理器具などを活用します。

■鍋つかみや耐熱手袋

鍋から袋を取り出す際にやけどしないよう、必ず着用しましょう。

■耐熱皿

高温の鍋肌にポリ袋が触れて破れるのを防ぐため、鍋底に皿を敷きます。鍋のサイズよりも一回り小さいサイズが理想ですが、適当な皿がなければザルで代用しても構いません。

ポリ袋調理のやり方

ポリ袋調理は、袋に食材を入れて湯せんで加熱するシンプルな調理法です。以下の手順で、安全に調理を進めましょう。

1. 食材と調味料を袋に入れ、ねじりながら空気を抜いて袋の口に近い部分で結ぶ

2. 大人数分の調理を1袋ですると加熱ムラが出やすいので、1袋に入れる食材は1人分にする

3. 鍋の半量程度の水を鍋に入れて、袋を鍋に入れる

4. 鍋から袋がはみ出さないようにフタをして、点火する

5. 沸騰直前(80〜90度程度)まで温めたら、フツフツと沸騰した状態を保ちながら弱火で湯せんする

6. 加熱時間はレシピに応じて調整し、別の料理を同時に加熱できる

7. 鍋から袋を取り出し、皿に広げて結び目をほどくかキッチンバサミで切る

8. 余ったお湯は再利用できる他、湯たんぽに入れて使うなど有効活用する

安全に調理するポイント

ポリ袋調理を行う際は、いくつかのポイントを守ることが大切です。まず、ポリ袋は「耐熱」や「湯せん調理可」などと明記されたものを選びましょう。調理の際は、袋の中の空気をしっかり抜いて口を固く結び、結び目がお湯より上に出るようにしておくと安全に取り出せます。

また鍋底に袋が直接触れると袋が熱で破れるおそれがあるため、底に皿を敷いてから袋を入れると安心です。加熱中は強火で沸騰させすぎないようにし、弱火でフツフツとした状態を保ちます。

調理後のポリ袋は衛生面を考慮し、再利用せず廃棄してください。火を使用するため換気を十分に行い、燃料の残量にも注意することも大切です。

非常食に役立つポリ袋調理のレシピ【主食】

袋に入ったご飯

ポリ袋調理を活用すれば、主菜やスープ、おやつまで作れます。まずは少ない水でふっくらご飯を炊く方法と、ポリ袋1つでパスタを作る方法を紹介します。

お米の炊き方

<材料(2人分)>

・米 1合(150グラム)

・水 210~220ミリリットル

<作り方>

1. 耐熱性ポリ袋に米と水を入れて、袋を結び30分置く

2. 鍋に水を入れ耐熱皿を敷き、袋を入れてフタをして点火する

3. 沸騰したらフタを取り、弱火で30分湯せんする

4. 袋を取り出し、そのまま10分蒸らしてから袋を開ける

<ポイント>

米用の計量カップがない場合は、適当な容器を使って米を計量し、その1.2倍量の水を用意するとちょうど良い水加減になります。

パスタの茹で方

<材料(2人分)>

・スパゲティ 160グラム

・市販のパスタソース 2人分

・水 200ミリリットル

・塩 小さじ2/3 

<作り方>

1. 耐熱性ポリ袋にすべての材料を半量ずつ入れる

2. 空気を抜きながら袋をしっかり結ぶ

3. 鍋に水を入れて皿を敷き、2.を入れて10分湯せんする

4. 袋を取り出し、ミトンやタオルを使って袋の上から麺をほぐすように揉む

5. 鍋に戻し、さらに10分湯せんする

6. 皿の上に袋を乗せ、袋の上部を切る

<ポイント>

備蓄食材のツナ缶やサバ缶、野菜などをプラスすれば、彩りも栄養価もアップ!災害時に不足しやすいタンパク質やビタミンを補えます。

非常食に役立つポリ袋調理のレシピ【主菜】

皿に盛られた筑前煮

停電になってしばらくは冷蔵庫・冷凍庫の食材を使えますが、長期的には乾物などの備蓄食材が頼りになります。高野豆腐や缶詰などを使って、いつものメニューを作ってみましょう。

筑前煮

<材料(2人分)>

・焼き鳥缶 1個

・コンニャク 1/2枚

・ニンジンなどの根菜 50グラム

・めんつゆ(3倍濃縮) 小さじ1

・水 大さじ2

<作り方>

1. 耐熱性ポリ袋にすべての材料を半量入れる

2. 空気を抜きながら袋をしっかり結ぶ

3. 鍋に水を入れて皿を敷き、2.を入れて20分湯せんする

4. 袋を取り出して椀に入れ、袋の上部を切る

<ポイント>

焼き鳥缶の味が濃いと感じる場合は、めんつゆを減らして味を調整してください。常温保存できるレトルトの茹で野菜をストックしておくと、いざという時に重宝します。

マーボー高野豆腐

<材料(2人分)>

・高野豆腐 2枚

・水 200ミリリットル

・マーボー豆腐の素 1/2袋

<作り方>

1. 高野豆腐と水200ミリリットルを耐熱性ポリ袋に入れ、しばらく時間を置く

2. 高野豆腐を袋の中で絞って取り出し、一口大に切る

3. 高野豆腐と水の半量をもう1枚の袋に入れ、マーボー豆腐の素を半量ずつ入れる

4. 空気を抜きながら袋をしっかり結ぶ

5. 鍋に水を入れて皿を敷き、2.を入れて20分湯せんする

6. 袋を取り出して椀に入れ、袋の上部を切る

<ポイント>

常温で長期保存できる高野豆腐は、タンパク質やカルシウム、鉄分を含み、栄養面でも優れています。一口サイズの高野豆腐を使う場合は、手順の3番目の工程から始めてください。

肉じゃが

<材料(2人分)>

・ジャガイモ 2個

・ニンジン 1/2本

・レトルト牛丼 1袋

<作り方>

1. ジャガイモとニンジンは皮をむいて小さめの一口大に切る

2. 耐熱性ポリ袋にすべての材料を半量入れ、全体を混ぜ合わせる

3. 空気を抜きながら口を結ぶ

4. 鍋に水を入れて皿を敷き、2.を入れて20分湯せんする

6. 袋を取り出して椀に入れ、袋の上部を切る

<ポイント>

火が通りやすいように、野菜は普段肉じゃがを作る時よりも小さめにカットしましょう。

非常食に役立つポリ袋調理のレシピ【スープ】

椀に盛られた温かいスープ

温かいスープは体だけでなく心も温め、非常時の安心感につながります。また栄養や水分の補給にも役立つため、非常時の食卓におすすめです。家にある乾物などを活用して、自分好みにアレンジしてください。

味噌汁

<材料(2人分)>

・乾燥ワカメ 10グラム

・焼き麩 6グラム

・水 400ミリリットル

・顆粒だし 小さじ3/2

・味噌 小さじ4

<作り方>

1. 耐熱性ポリ袋にすべての材料を半量ずつ入れる

2. 空気を抜きながら袋をしっかり結ぶ

3. 鍋に水を入れて皿を敷き、2.を入れて5分湯せんする

4. 袋を取り出して椀に入れ、袋の上部を切る

<ポイント>

乾燥野菜や切り干し大根など、家にある乾物を活用してみましょう。包丁いらずで調理の手間も減らせます。

野菜とキノコのスープ

<材料(2人分)>

・ジャガイモ 1個

・玉ネギ 1/4個

・マッシュルーム(缶詰やレトルト) 40グラム

・コーン缶 大さじ2

・水とマッシュルームの汁 300ミリリットル

・顆粒コンソメ 小さじ2

・塩コショウ 少々

<作り方>

1. ジャガイモは皮をむいて小さめの一口大、玉ネギは皮をむいてくし切りにする

2. 耐熱性ポリ袋にすべての材料を半量入れ、全体を混ぜ合わせる

3. 空気を抜きながら口を結ぶ

4. 鍋に水を入れて皿を敷き、2.を入れて20分湯せんする

6. 袋を取り出して椀に入れ、袋の上部を切る

<ポイント>

好みで生姜やニンニク(チューブでも可)、カレー粉などを加えてアレンジしても美味しく食べられます。

卵とワカメの中華風スープ

<材料(2人分)>

・卵 2個

・乾燥ワカメ ひとつかみ(6g)

・水 260ミリリットル

・鶏がらスープの素 小さじ2

<作り方>

1. 耐熱性ポリ袋に卵を割り入れてよく揉み、半量をもう1枚の袋に移す

2. それぞれの袋にすべての材料を半量ずつ入れ、空気を抜きながら口を結ぶ

3. 鍋底に耐熱皿を敷き、鍋の半分の高さまで水を入れる

4. 1.を入れて点火し、沸騰したら中火にして5分加熱する

<ポイント>

干し椎茸や煮干しなどのだしが出る乾物を加えると、うまみが増してさらに美味しくなります。おつまみ用のサキイカを具材に加えると、食感や風味にアクセントが出ておすすめです。

非常食に役立つポリ袋調理のレシピ【おやつ】

ポリ袋レシピで作った蒸しパン

甘いおやつがあると、非常時でもほっと一息つくことができます。家にある食材でアレンジしやすい、蒸しパンのレシピを紹介します。

蒸しパン

<材料(2人分)>

・ホットケーキミックス 50グラム

・レーズン 大さじ1

・水 50ミリリットル

<作り方>

1. 耐熱性ポリ袋にすべての材料を入れて混ぜ、空気を抜きながら袋をねじって口を結ぶ

2. 鍋底に耐熱皿を敷き、鍋の半分の高さまで水を入れる

3. 1.を入れて点火し、沸騰したら中火にして15分加熱する

4. 火を止めてフタをしたまま5分蒸らす

<ポイント>

ココアパウダーを小さじ2入れてチョコ味にしたり、ミックスナッツや甘納豆など家にある具材を加えたり、自由にアレンジできます。

加熱手段と燃料を備えよう

カセットコンロとカセットボンベ

ポリ袋や食材があっても、肝心の加熱手段がなければ調理ができません。調理用の加熱器具と燃料を備えておくことが大切です。

■カセットコンロとカセットボンベ

アウトドアや鍋料理などにも活躍するカセットコンロは、停電時の調理にも活躍します。カセットボンベの消費量は気温や使用回数で変動しますが、目安として1日2~3本、 7日分程度を備蓄しておくと安心です。

■灯油ストーブや石油コンロ

停電時には、灯油を使う暖房機器や調理機器も有用です。過去の災害では、長期にわたる停電が発生したケースもありました。日頃から燃料を満タンにし、さらに灯油を多めに備蓄する「満タン&灯油プラス1缶運動」を実践することで、災害時の安心を確保しましょう

ポリ袋調理向きの食材と備蓄のコツ

ポリ袋調理に向いている食材

ここでは、ポリ袋調理に使いやすく長期保存できる食材や、備蓄のコツを紹介します。以下に紹介する種類を揃えれば、組み合わせやアイディア次第で料理のバリエーションを出せるでしょう。

常温で長く保存できる食材

缶詰やレトルト、乾物など長期保存が可能な食材はたくさんあります。アレンジが効いて使いやすい種類、食べ慣れた味を備えておきましょう。

・主食:無洗米、切り餅、パックご飯、乾麺、インスタント麺など

・野菜:乾燥野菜、切り干し大根、干し椎茸、レトルト野菜、マッシュルーム缶など

・魚介、海藻:煮干し、桜エビ、かつお節、乾燥ワカメ、乾燥ひじき、サバ缶、ツナ缶

・豆:大豆やミックスビーンズの缶、乾燥豆

・調味料(塩・砂糖・粉末だし・顆粒スープの素など)

・缶詰:焼き鳥などのおつまみ系、トマト缶、フルーツ缶など

・レトルト食品:カレー、丼の具など

備蓄のコツ

家族が日常的に食べるものを中心に備蓄すれば、災害時でも普段の食卓に近い食事ができ、被災生活のストレスを減らせます。使い捨てスプーン・フォーク、紙皿、ラップなども買い置きしておくと便利です。

さらに、普段の買い物の延長で備蓄できる「ローリングストック」方式を取り入れるのもおすすめです。古い食品から順に使い、使った分を補充していくサイクルを作ることで、賞味期限切れを防ぎながら備蓄を維持できます。

いざという時はポリ袋を使った非常食レシピを活用しよう

ポリ袋で複数の調理をする様子

耐熱性ポリ袋と鍋、加熱手段さえあれば、家庭にある備蓄食材で幅広い料理を作れます。また、灯油やカセットボンベなどの燃料もあわせて備蓄しておくことが大切です。いざという時は、この記事で紹介したレシピを活用して、家族で温かい食卓を囲みましょう。

#日常生活

#防災

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