
防災用にポータブル電源は必要か?注意点と選び方を徹底解説
災害対策アイテムとして注目を集めるポータブル電源は、内蔵バッテリーに電気を溜めておき、持ち運びできる大容量のバッテリーです。停電時や電源が確保できない環境で活躍し、キャンプや車中泊などの用途にも用いられています。ここではポータブル電源が災害用に必要なのか、また選び方についても解説します。
防災グッズとして注目されるポータブル電源とは

ホームセンターなどで見かけるポータブル電源は、サイズや機能もさまざまです。どのように使い、防災にどう役立つのか、またモバイルバッテリーとの違いについて解説します。
・コンセントが使えるバッテリー
ポータブル電源とは、AC電源(コンセント)つきの持ち運びできる蓄電池です。スマートフォンや照明、家電製品などに電力を供給でき、災害時の停電対策として注目されています。また排気ガスを出さないため、室内でも安全に使用可能です。
一般的にポータブル電源は、家庭用コンセント・車のシガーソケット・ソーラーパネルなど、複数の方法で充電できるのも特長です。モデルによってはUSBポートやDC出力なども備えていて、幅広い電子機器に対応しています。大きさや重さは製品によって異なりますが、防災だけではなくアウトドアや車中泊などにも活用できるものです。
・モバイルバッテリーとの違い
モバイルバッテリーは、主にスマートフォンやタブレットなどの小型電子機器を充電するための製品です。出力は主にUSB端子で、ACコンセントを備えているモデルはほとんどありません。容量も比較的小さく、数回のスマホ充電にとどまるケースが多いでしょう。
・ポータブル電源が防災対策に必要な場面

スマートフォンの充電や、パソコンや調理家電、扇風機、照明、テレビなどの家電も、ポータブル電源を使えば動かせます。
・スマートフォンを充電できる
災害時は、連絡手段や情報収集のためにスマートフォンの重要性が高まります。充電切れは避けたいところですが、地震や台風などの災害では停電が発生することも珍しくありません。東日本大震災では、停電の約80%が復旧するまでに3日間かかりました。
スマートフォンを3日間使うには、一般的なモバイルバッテリー1つでは不十分です。そんな時にポータブル電源があれば安心できるでしょう。
・冷暖房機器を使える
被災時の暑さ・寒さは健康にもかかわる重大な問題です。特に真夏や真冬だと、冷暖房機器のない環境で過ごすのは健康リスクが伴います。ポータブル電源があれば扇風機や電気ストーブ、さらに容量の大きいタイプならエアコンなどの機器も使え、熱中症などのリスクを回避できるでしょう。
・照明であかりを確保できる
あかりがない状況での夜間作業には、危険が伴います。ポータブル電源を利用して照明器具を使えば、部屋を明るく照らすのにも使えて安全です。LEDランタンや携帯用ライトも長時間使えるようになり、安全確保や心理的な安心感確保にもつながります。
・冷蔵庫や調理器具を使える
食料の保存や調理は、災害時の暮らしを支える重要な要素です。停電時でもポータブル電源があれば、冷蔵庫で食材を安全に保存でき、電子レンジで温かい食事を用意できます。温かい食事は心理的な安堵感を生み、災害時のストレス軽減につながるでしょう。
ポータブル電源を防災用に使う際の注意点

ポータブル電源は、備えておくだけで安心…というものではありません。必要なときに本当に役立てるには、「充電の管理」や「容量の使い方」といった基本的な注意点を理解しておくことが重要です。
・あらかじめ充電しておく
いざという時に使えるよう、事前に充電をしておきましょう。定期的な充電とチェックを心がけることが大切です。ポータブル電源に加えて、ソーラーパネルをセットで購入するのもおすすめです。
・容量に合わせて計画的に使用する
バッテリーは無限に使えるわけではないため、計画的な使用が欠かせません。ポータブル電源の容量を考慮して優先順位をつけて使用することが大切です。最低限の照明やスマートフォンの充電を優先し、消費電力の高い家電はなるべく使用を控えるなど、工夫して活用することが重要です。
例えば消費電力50Wの家電を5時間使うなら、50W×5時間=250Whの容量が必要です。事前に、自宅にある家電の消費電力をおおまかに把握しておくことも大切です。
防災用のポータブル電源の選び方

ポータブル電源は非常時に頼りになる防災アイテムであるものの、選び方を誤ると「いざという時に使えない」というリスクもゼロではありません。以下のポイントを押さえてポータブル電源を選びましょう。
・安全性やメーカーのサポートを確認する
リチウムイオンバッテリーの異常発熱を防ぐ制御装置がついている製品、メーカーのサポートが充実している製品など、安全性を重視して選びましょう。購入前には保証期間やアフターサービスについてもチェックするのを忘れずに。
・必要な容量を確認する
容量も重要なポイントです。できれば、エアコンや冷蔵庫などの家電を動かせるだけの容量を確保したいところです。過去の大規模災害では、ライフラインの復旧まで2~3日かかることもありました。容量700Wh以上、出力1,000Wh以上を備えた中型・大型モデルがおすすめです。
・扱いやすい重量と容量のバランスを考える
バッテリー容量が大きくなるほど、ポータブル電源は大きく重たくなります。1000Whクラスの製品だと、本体が10キロを超えるものもあります。ある程度の容量が必要とはいえ、車に載せたり、家の中を持ち運んだりすることを考えた場合、あまりに重いと扱いが大変です。動かしやすいキャスタータイプを選ぶのもおすすめです。使い勝手と必要な容量のバランスを考慮して選びましょう。
災害対策のためにポータブル電源を購入すべき?

ポータブル電源を検討する際、「非常時のためだけに高価な電源を買うべきか」と迷う人も少なくありません。スマートフォンの充電だけなら、モバイルバッテリーを複数台用意する方が費用面で現実的だと感じる人もいるでしょう。また電気を使わない石油ストーブやカセットコンロなどを備えておけば、冷暖房や調理の対策になるという考え方もあります。
その一方で、ポータブル電源はキャンプや車中泊、防災訓練などでも活用できるため、使い道が限定されないのがメリットです。普段から外出先や非常時に電源を必要とする場面が多い人にとっては、防災+日常の“両立”ができる実用的な選択肢といえます。必ずしもポータブル電源を持つべきとは言い切れないものの、自分や家族のライフスタイル、備えの考え方に合わせて柔軟に判断することが大切です。
満タン&灯油プラス1缶にも取り組もう

「満タン&灯油プラス1缶運動」は、大規模災害発生直後にガソリンや灯油が入手困難になることを避けるため、日頃から車の燃料を満タンにしておくことや、灯油を1缶多めに保管しておくことを推奨する運動です。
普段から車の燃料や灯油をしっかり準備していれば、いざという時の安心・安全を守れます。電源の確保に加えて燃料の備蓄もセットで考えることで、より強固な災害対策を意識しましょう。
ポータブル電源が防災に必要かを考えて万全の備えを

防災用に水や非常食を準備している家庭はあっても、なかなか「電気」の確保は後回しになりがちです。しかし災害時、電気が使えなくなることで起こる不便や不安は想像以上に大きなものとなるでしょう。
ポータブル電源は、停電時にスマートフォンの充電や冷暖房、照明、調理など、家族の安心と安全を支える心強い防災アイテムです。ただし電源だけではカバーしきれない暖房や調理のためには、石油ストーブや「満タン&灯油プラス1缶」といったアナログな備えも効果的です。家族のライフスタイルに合った防災対策を進めていきましょう。
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