備えない防災「フェーズフリー」を日常に。グッズの例や取り入れ方を紹介
フェーズフリー防災とは、日常生活と災害時の境界をなくし、普段使いできるアイテムで自然と備えを整える新しい防災の形です。特別な準備がなくても、普段から役立つグッズや意識を取り入れるようにしておくと、いざという時に安心できるでしょう。本記事では、フェーズフリーの意味や具体的な取り入れ方を紹介します。
備えない防災「フェーズフリー」とは
近年、従来の「防災」の概念を見直す動きとして「フェーズフリー」が注目されています。日常と災害時を区別しないことで、備えに対するハードルを低く感じられるのがポイント。フェーズフリーの意味や具体例を見ていきましょう。
フェーズフリーの意味
フェーズフリーとは、「日常時」と「非常時」という2つの局面(フェーズ)の境界をなくす(フリー)という意味。日常的に使っているものを災害時にも役立てられるように、普段の生活に必要なアイテムを上手く選ぶことで、意識的に「備え」を行わなくても結果として防災ができているという考え方です。従来の「備蓄する」「非常用品を用意する」といった防災意識を新しい形に進化させたもので、防災へのハードルを下げられることから注目されています。
フェーズフリーの5原則
1. 常活性:日常と非常時のどちらでも使える汎用性があり、機能を発揮できること
2. 日常性:日常生活に溶け込み、普段から無理なく活用できること
3. 直感性:使い方が直感的に理解できて、消耗・交換時期などが直感的に分かりやすいこと
4. 触発性:利用することで災害への意識を高め、行動を考えるきっかけになること
5. 普及性:誰もが使いやすく、広めたくなる革新性を持ち、社会に浸透しやすいこと
上記の5原則に基づく審査基準をクリアした商品やサービスは、一般社団法人フェーズフリー協会が認証したものとして、PF認証マークと呼ばれるラベルをつけての販売が可能になります。
フェーズフリーの具体例
フェーズフリーは個人、企業、自治体といった垣根を超えて取り組むことができます。
<具体例>
個人:フェーズフリーな商品・サービスを活用するなど
企業:蓄光LEDや止水ドアの導入、フェーズフリー商品の活用など
自治体:市庁舎やクリーンセンターなどの施設に災害時に避難所として活用できる建築を採用するなど
個人のフェーズフリーの取り入れ方は、後ほど詳しく紹介します。
日常生活にフェーズフリーを取り入れるメリット
フェーズフリーを日常に取り入れると、災害発生時への対応力を上げたりストレスを軽減できたりといったメリットがあります。個人がフェーズフリーを取り入れるメリットを詳しく紹介します。
災害に対応しやすくなる
フェーズフリーを取り入れると、普段から災害を意識しやすくなり、いざという時の対応力を高めることができます。また、日常で使用しているアイテムがそのまま非常時にも役立つので、災害発生時でも冷静に対処できるようになり、家族の防災力も自然に向上するでしょう。
災害時のストレスを軽減できる
フェーズフリーを取り入れていると、非常時でも普段と同じような生活がしやすくなるため、災害発生時のストレスを軽減できるでしょう。災害で環境が変化し、普段とは違う生活や食事になるとストレスが溜まりやすい傾向があります。フェーズフリーで日常的に使い慣れた食品や道具を活用できると、環境の変化に対する不安が和らぎます。
コストやロスを削減できる
フェーズフリーは特別な備えが不要なので、非常用の特別なアイテムを用意するためのコストや保管スペースを節約できます。普段から使用しているものが備えになるため、備蓄品のロスがなくなり、計画的に補充できる点もメリットです。
常に持ち歩けるフェーズフリー防災グッズ
日常生活と災害発生時のどちらにも使えるフェーズフリーな防災グッズは、外出の際に持ち歩くのがおすすめ。常に持ち歩けるフェーズフリーな防災グッズを紹介します。
モバイルバッテリー
非常時には、スマートフォンが連絡や情報収集手段になる他、ライトの代用としても役立ちます。常に充電ができるようにモバイルバッテリーを携帯しておくと、停電発生時にも対応しやすくなります。
LEDライト
LEDライトは夜間の外出時やキャンプなど、さまざまなシーンで活躍するアイテム。停電の発生時は、転倒などの危険を回避しやすくなります。耐久性や防水性に優れた、コンパクトなものを持っておくと活用しやすいでしょう。
レインコート
急な雨天時にあると便利なレインコートも、フェーズフリーに利用できます。雨風を防げて防寒具になる他、濡れている地面に座る際のシートにも使えるでしょう。また、避難所で着替えやトイレをする際の目隠しとしても役立ちます。
救急止血用パッド
出血時にすばやく止血ができる救急止血用パッドは、直感性に優れていて誰でも使用しやすいアイテムです。出血した部位にパッドを当てて固定するだけで応急処置ができるので、災害発生時に怪我をする前提で、常備しておくと安心できるでしょう。
防災ポーチ
外出先で災害が起こった際に役立つものが入った防災ポーチを常に持ち歩くのもおすすめです。災害時だけではなく、急病時や怪我をしたときにも役立ちます。非常食や簡易トイレなどの基本的なアイテムが入ったセットを選ぶか、自分で必要なものを厳選してポーチに入れておくと良いでしょう。
▼こちらも参考に。
フェーズフリー防災の取り入れ方
フェーズフリー防災を生活に取り入れるのは、難しいことではありません。ローリングストックや燃料を多めに持っておくだけでも、災害発生時に安心して過ごしやすくなるでしょう。取り入れ方の例を紹介します。
フェーズフリー商品を購入する
買い物をするときは、フェーズフリーに使える商品かどうかを意識してみましょう。例えば、広げると寝袋やひざ掛けとして使用できるクッションや、バケツになるリュックなどはフェーズフリーに使用できます。先述したPF認証マークがついているものを選ぶと、安心して使いやすいでしょう。
アウトドア・キャンプ用品を活用する
登山などのアウトドアやキャンプが趣味の場合は、非常時にもグッズを活用してみましょう。例えば、ランタンやテント、寝袋など。触発性を高めるために、たまに家でテントや寝袋を使用してみるのもおすすめです。
日用品や食品は多めに買ってローリングストックする
日用品や食品は少し多めに買って、日常備蓄をしながらローリングストックで消費するのがおすすめです。例えば、レトルト食品を普段から多めに買っておき、消費期限が近いものから順に消費していくなど。数が減ったらその分新しく買い足して、常にある状態をつくるのがポイントです。食べ慣れた食品や使い慣れた日用品だと、災害時にも安心して使用できるでしょう。
車の燃料を満タン・灯油プラス1缶を心がける
日用品や食品を多めに買っておくのと同様に、車の燃料や灯油といった燃料も多めを心がけましょう。災害でライフラインが停止すると、車の燃料や灯油の補給が難しいかもしれません。日頃から車の燃料を満タンにしておくと、災害発生時でも電気や空調設備を使用できるといったメリットがあります。また、灯油を1缶多めに持っておくと、石油ストーブや石油コンロの使用も可能になります。
フェーズフリーで防災を日常に取り入れよう
フェーズフリーは、日常生活に自然に溶け込みながら防災ができるのが魅力。常に使っているものが災害時にも役立つという発想を持つことで、防災への取り組みがぐっと身近になります。まずは、手軽に持ち歩けるグッズやアウトドア用品の利用から始めてみてはいかがでしょうか。
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