余った灯油の正しい処分方法|引き取りの現状やポリタンクの処分も解説
灯油処分は環境保護や安全の観点から慎重に行う必要があります。また、シーズンを越えて保管すると劣化による機器故障や一酸化炭素中毒などのリスクも高まるため、持ち越しは推奨されていません。本記事では、古い灯油やポリタンクの安全な処分方法や引き取りの現状について詳しく解説します。
古い灯油を使うリスク
灯油がまだ残っているからといって、次のシーズンに持ち越して使用すると機器の故障や事故を起こしてしまうかもしれません。まずは、古い灯油を使うことで発生するリスクを紹介します。
灯油ストーブやファンヒーターの故障につながる
古い灯油を使うと、ストーブやファンヒーターが正常に点火・消火できず故障につながる可能性があります。加えて、機器内部の灯油に混入していた残留物が溜まると故障のリスクが上がります。修理や買い替えのコストが発生するのを避けるためにも、古い灯油の使用は避けるようにしましょう。
異常燃焼や一酸化炭素中毒を起こす可能性がある
古くなって劣化した灯油を使うと異常燃焼が起こりやすくなり、一酸化炭素中毒のリスクも上がります。不完全燃焼を起こすと煙や強い臭いに加えて、一酸化炭素も発生します。一酸化炭素が発生すると中毒を起こすおそれがあるため、命に関わる事故につながるかもしれません。灯油機器を安全に利用するためにも、新鮮な灯油を使うことが大切です。
灯油・ポリタンクの使用期限の目安
灯油には使用期限が表示されていませんが、石油業界では6ヵ月を使用推奨期間としています。国民生活センターも、前シーズンから持ち越した灯油は使用しないよう注意喚起しています。長期間保管してしまうと日光や熱によって変質したり、水や不純物が混入して不良灯油になったりするおそれがあるので、シーズンを越して持ち越すのは避けましょう。
また、灯油を保管するポリタンクも長期間使用していると劣化するため、5年が買い替えの目安となっています。製造年月が記載されているので、定期的に確認して新しいポリタンクを用意しましょう。
自治体では灯油の処分ができない場合が多い
灯油は危険物に分類されるため、ほとんどの自治体で家庭ゴミとして処分できません。同様に、回収も行っていないので自治体に持っていくのは避けるようにしましょう。ただし、一部の自治体では50〜100cc程度の少量の灯油であれば、いらなくなった紙や布、新聞紙等に染み込ませて可燃ゴミとして出すことが可能です。まずは自治体のホームページなどを確認してみると良いでしょう。
これはNG!灯油の間違った処分方法
環境省は、灯油を特別管理産業廃棄物に分類しています。特別管理産業廃棄物には一般の廃棄物よりも厳しい基準が定められているため、自治体で処分できないからといって以下の間違った方法で処分することは絶対に避けましょう。
NG①凝固剤で固める
灯油を食用油用の凝固剤で固めるのは非常に危険です。凝固剤は高温で機能するため、灯油を加熱すると火災の原因につながります。
NG②燃やす
少量の灯油であっても、燃やして処分するのは絶対に避けましょう。灯油は燃えやすく、火が広がりやすいため火災が発生するリスクがあります。加えて、灯油には消火し難いといった性質もあるので、火災が発生した場合周囲に二次被害が及ぶおそれもあります。
NG③土に埋める
灯油を土に埋めて処分すると土壌汚染の原因となり、環境に大きな悪影響を与えてしまいます。埋立処分基準にも違反しているため、絶対に行わないようにしてください。また、灯油の引火点は40度以上なので、作業中に引火する危険もあります。
NG④河川や下水に流す
灯油を河川や下水管に流すと、水質汚染や生態系の破壊を招いてしまいます。下水管内で灯油が気化すると爆発の危険性も。加えて、浄水施設に灯油が到達すると、灯油の臭いが広範囲に広がって悪臭被害や浄水不能に陥るといったリスクもあります。
灯油の正しい処分方法
灯油は安全な方法で処分する必要があります。自分で捨てることは難しいので、以下の正しく安全な方法から選ぶようにしましょう。
① 自分で使い切る
最も手間のかからない方法は、灯油を早めに使い切ることです。灯油は家で使用する石油ストーブやファンヒーターといった暖房器具の他に、キャンプなどで重宝する灯油ランタンにも使用できます。
石油ストーブやファンヒーターは暖房としてだけではなく、洗濯物を室内干しするときの乾燥機代わりにも活用できます。乾燥機として使うなら、火災を避けるために洗濯物は暖房器具から離して干しましょう。また、定期的な換気も忘れずに行うようにしてください。
②必要な人に譲る
近隣の人や知人など、灯油が必要という人に譲るのも一つの方法です。ただし、劣化した灯油だと機器の故障などで人間関係のトラブルに発展する可能性があるため、古い灯油は譲らないようにしましょう。また、譲る際は必ず専用のポリタンクに入れて、灯油が漏れないように注意する必要があります。
③不用品回収業者に依頼する
不用品回収業者とは、家庭で出た不要なものを回収してくれる業者のこと。法律で定められている基準を満たした業者であれば、危険物である灯油の回収を行ってくれる場合があります。費用が必要ですが、その他の不要なものも一緒に処分できるといったメリットもあります。
ただし、産業廃棄物処理業者は家庭ゴミの処分ができません。その他の不用品も一緒に処分したい場合は、回収業者がどちらに該当するか確認する必要があります。また、信頼できる業者を選ぶのもポイントです。
灯油引き取りの現状
ガソリンスタンドでは灯油の引き取りが可能と公表されている場合がありますが、対応できない店舗が増えているのが現状です。灯油の引き取りに関する現状を紹介します。
ガソリンスタンド
灯油はガソリンスタンドで引き取ってもらえると言われることが多いですが、実際は産業廃棄物として処理するのに費用がかかるため、断られるケースもあります。廃棄物を有料で買い取れないという背景も関係していると考えられるため、ガソリンスタンドに持って行く場合は新しいものを買って帰るのが理想的です。新しい灯油を買っておくことで、備蓄にもつなげられるでしょう。
専門の回収業者
灯油専門の回収業者も存在しますが、その数は非常に少ないのが現状です。そのため、業者を探す手間がかかってしまうかもしれません。
灯油を保管していたポリタンクの処分方法
灯油を入れるポリタンクの処分方法は自治体によって異なります。中身が空の状態であれば、不燃ゴミや粗大ゴミとして処分できる場合が多い傾向です。事前に自分が住んでいる地域の自治体のホームページなどを確認して、灯油と同様に正しい方法で処分しましょう。
灯油プラス1缶を災害時の備えに
灯油の処分が面倒だからといって、必要な時期に少なめに購入するのはおすすめできません。灯油が少ないと災害発生時に暖がとれず、不便さを感じてしまうでしょう。加えて、ライフラインが停止して物流の停滞やパニックバイが起こり、灯油を手に入れるのが難しくなるケースも想定されます。
灯油を使うシーズンは、プラス1缶多めに購入しておき、使用しながら備えるのがおすすめ。同時にガソリンも満タンを心がけておくと、いざというときにより安心できます。
灯油やポリタンクは正しい方法で処分を
灯油は家庭ゴミとして気軽に処分することはできません。安全性と環境への配慮のため、基本的にはシーズン内に使い切るのが理想です。どうしても余ってしまった場合は、必要な人に譲る、または信頼できる回収業者に依頼するなどの正しい方法で処分を心がけましょう。
▼こちらの記事も参考に。
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