2024/11/15
石油ストーブのメリットとデメリットを解説。選び方や使用時の注意点も
石油ストーブは電気が不要で災害時にも使えるなど、さまざまなメリットがあります。暖房器具に効率や燃費の良さを求めるのであれば、石油ストーブを選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。本記事では石油ストーブのメリットとデメリットや、使用時の注意点、選び方などを紹介します。
石油ストーブとは
石油ストーブは灯油を燃料にした暖房器具で、電気を必要としません。まずは、石油ストーブの特徴や石油ファンヒーターとの違いを紹介します。
石油ストーブの特徴
石油ストーブは、灯油を燃料にして部屋を暖める暖房器具です。石油ストーブには対流式と反射式の2種類があり、それぞれ仕組みが異なります。
<対流式>
・円筒形のデザイン
・灯油を燃焼させて発生する暖かい空気を部屋全体に対流させ、部屋全体を効率的に暖める
<反射式>
・本体の奥部分に反射板がついている
・反射板で熱を輻射し、前方を集中的に暖めるため壁際に設置できる
石油ストーブと石油ファンヒーターの違い
石油ストーブと石油ファンヒーターの違いは、ファンの有無と電気が必要か不要かにあります。石油ストーブはファンが非搭載なので、電気は不要です。対して石油ファンヒーターは、ファンを使って暖かい空気を送り出す仕組み。ファンで空気を送り出すために、電気が必要になります。
石油ストーブのメリット
石油ストーブには、燃費の良さや暖房効率の高さ、災害時にも使用できるなど、さまざまなメリットがあります。ここではその主な利点について紹介します。
電気が不要で燃費が良い
石油ストーブは電気を使わないため、電気代がかかりません。特に電気代が高騰している時期には、経済的な暖房手段として活躍します。また、灯油の燃料費はガスや電気に比べて安く、少量の灯油で十分な暖房効果が得られます。
暖房効率が良い
石油ストーブは暖房効率が非常に高く、速暖性にも優れています。エネルギー会社によっても異なりますが、1円あたりの熱量は灯油ストーブが87キロカロリー、ガスストーブは65キロカロリー、電気ストーブが35キロカロリー程度と言われています。電気ストーブやガスストーブよりも熱効率が良く速暖性にも優れているので、冬の暖房費を抑えやすいでしょう。
運転音が静か
石油ストーブはファンがないので、運転音が非常に静かです。そのため、リビングや寝室など、静かな環境を求める場所でも快適に使用できます。また、風を送り出す仕組みではないので、肌が乾燥しにくいという利点もあります。
災害時にも使用できる
石油ストーブは、停電やガス供給停止といった災害時でも灯油さえあれば使用できるため、備えにもなります。点火には乾電池やマッチやライターで着火する製品が多いですが、ハンドルを回して簡単に点火できる製品もあります。暖房だけではなく照明としても役立つため、災害時の備えとしても優れています。
石油ストーブのデメリット
石油ストーブは灯油が必要になるため、調達や補充する手間がかかるといったデメリットも。また、安全に使うためには換気も必要です。
灯油の調達や補充が必要
石油ストーブは灯油を使うため、定期的に自分で灯油を調達し、補充する必要があります。灯油タンクは重いので、車を持っていない場合は灯油の購入が不便に感じるかもしれません。手間を省きたい、車がないという場合は、灯油配達や巡回販売を利用するのも一つの方法です。
換気が必要
石油ストーブは酸素が不十分な環境で不完全燃焼を起こすと、燃焼時に一酸化炭素が発生する可能性があるので、定期的に換気をしないと一酸化炭素中毒になるおそれがあります。また、点火時と消火時は燃焼しきれずに残ったガスが発生して、臭いが発生しやすい傾向。一酸化炭素中毒予防と臭い予防のために、定期的な換気は必要不可欠と言えます。
石油ストーブの選び方
石油ストーブを選ぶ際には、部屋の広さや設置場所に応じた適切なタイプを選ぶことが重要です。また、安全性やデザインも考慮すると、より快適な冬の生活を実現できます。
種類と適用畳数で選ぶ
まずは使用する部屋の広さや設置場所に合わせて、対流式か反射式かを選びます。10畳以上の広めの部屋全体を温めたいのであれば、対流式がおすすめです。石油ストーブを壁際に設置したい、6~9畳程度の部屋で使用したいといった場合は、反射式が適しています。
また、石油ストーブには暖められる部屋の広さを示す適用畳数が設定されているので、合わせて確認するようにします。寒い地域や断熱性の低い住宅では、実際の畳数よりも広い畳数に対応したものを選ぶと良いでしょう。
点火方法で選ぶ
石油ストーブには、乾電池を使用した電子点火式やマッチを使った手動点火式があります。ほとんどの石油ストーブは、ボタンやつまみ一つで簡単に点火できる電子点火式を採用しています。乾電池が切れていても、マッチなどを使って直接点火できる機種を選ぶと災害時にも安心して使用できるでしょう。
マッチやライターを使って点火する手動点火式は、手間が必要ですがレトロな印象。ハンドルを手で回して点火する機種も存在します。乾電池やマッチがなくても使えるので、災害時に便利です。
安全性で選ぶ
製品に搭載されている安全機能も確認しておきましょう。異常な状況を検知した時に自動で停止してくれる、オートシャットオフ機能を搭載したものを選ぶと安心です。
<安全機能の一例>
対震自動消火装置:地震などで石油ストーブが転倒した場合に自動的に消火し、火災のリスクを軽減する
火災予防機能:給油口からの油漏れを防ぐ機能や、ストーブが過熱しないよう制御するオーバーヒートプロテクションなど
また、信頼性の高いメーカーの製品は、安全性も高い傾向にあります。製品に対して長期の保証がある場合がほとんどなので、迷った時は信頼できるメーカーのものを選ぶのがおすすめです。
デザインで選ぶ
使用する部屋のインテリアに合ったデザインのものを選ぶと、おしゃれな印象になります。スタイリッシュなものやレトロなものなど、石油ストーブのデザインやカラーは意外にも豊富です。鋼鉄、鋳鉄、セラミックなど、材質にもバリエーションがあり、それぞれ質感も異なるので気に入ったものを見つけてみてください。
また、自宅内で持ち運びたい、キャンプで使用したいという場合は軽量で小型なものを選ぶのがおすすめです。
石油ストーブを安全に使用するための注意点
石油ストーブは暖房効率が良く電気が不要で便利ですが、使い方を間違ってしまうと一酸化炭素中毒や火災を招くおそれも。使用時は以下の点に注意が必要です。また、使用前は必ず取扱説明書を読むようにしましょう。
1時間に1~2回換気をする
石油ストーブは空気を燃焼させるので、換気が不十分だと室内の酸素が減少して不完全燃焼を起こしてしまいます。不完全燃焼による一酸化炭素中毒になるおそれがあるため、1時間に1〜2回の頻度で、1〜2分程度の換気を欠かさないようにしましょう。2ヶ所以上の窓や扉を開けると効率が良く換気が行えます。
就寝時や外出時は消火する
就寝時や外出など、長時間換気ができない場合は使用を避けます。一酸化炭素中毒のリスクがある他、長時間石油ストーブにあたっていると低温やけどや脱水症状が起こる可能性があるためです。就寝や外出をする時は、確実に消化できているのを確認してからと覚えておきましょう。
灯油が漏れていないか確認する
カートリッジタンクを本体に装着する前に、灯油が漏れていないか必ず確認するようにします。蓋が完全に締まっていないと、灯油が漏れて引火するおそれがあります。灯油が漏れている場合は口金を締めなおし、確実に漏れない状態にしてから装着しましょう。
可燃物やスプレー缶を近付けない
布団やカーテン、ふすま、衣類など。可燃物を近くに置いていると高温になって発火する可能性があるので注意が必要です。石油ストーブの周囲や上に洗濯物を干すのも危険なので避けましょう。
また、ヘアスプレーや殺虫剤などのスプレー缶やガスボンベも、熱されることで内部の圧力が上がって破裂するおそれがあるため遠ざけて置くようにしてください。ガスが引火するリスクもあるため、スプレー缶やガスボンベは絶対に石油ストーブの近くで使用しないようにします。
前シーズンの灯油は使わない
劣化した灯油の使用は異常燃焼や一酸化炭素の発生促進につながる可能性があるため、使用は推奨されていません。前シーズンに使い切れなかった灯油は処理するようにしましょう。石油ストーブ内に灯油が残っている場合も、本体とタンクから灯油を取り除いて新たに給油を行います。
移動や給油は消火してから行う
石油ストーブを移動させたり給油したりする時は、やけどや火災などの事故を防ぐために必ず消火してから行います。就寝時や外出時と同様に、確実に消火ができていることを確認するようにしましょう。
清掃と点検を行う
使用前はホコリを取り除き、週に1度は清掃や点検を行いましょう。ホコリが溜まると、不完全燃焼や火災のリスクが上がります。
灯油は1缶多めに備蓄しておくと災害時も安心
石油ストーブ用の灯油は、1缶多めに保管しておくと災害時の備えになります。災害発生時は、電気・水道・ガスなどのライフラインの停止や物流の停滞によって燃料の入手が困難になる傾向があります。灯油をプラス1缶備蓄しておくと混雑するガソリンスタンドに並ぶ必要がなくなり、災害時の安心度も高まるでしょう。また、灯油と合わせて、車の燃料も日ごろから満タンにしておくのがおすすめです。
石油ストーブにはさまざまなメリットが
石油ストーブはすばやく部屋を暖められて、遠赤外線で体の芯から温まり、電気が不要なのが大きな魅力。また、災害時にも使用できるため1台持っておくと備えにもつながります。ここで紹介した注意点を守り、安全な方法で石油ストーブを使ってみてはいかがでしょうか。
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