灯油の正しい保管方法|処分の仕方や劣化した灯油の見分け方も解説
灯油の保管方法のポイントは、適した場所と容器を選ぶこと。涼しく熱がこもらない日陰で、法令に適合した容器に入れて保管しましょう。また、前シーズンから持ち越した灯油は劣化している可能性があるため使用は推奨されていません。本記事では、灯油の正しい保管方法や注意点の他、不良灯油の見分け方や処分方法について紹介します。
灯油の正しい保管方法
灯油は揮発性が高く、直射日光や高温に晒されると劣化しやすい性質があるため、保管方法には特に注意が必要です。灯油の保管場所や容器の選び方を紹介します。
保管場所は涼しい日陰を選ぶ
灯油は直射日光や高温に弱いため、涼しい日陰で保管するのが基本です。太陽光にさらされると灯油は酸化してしまい、劣化が早まります。特に夏場の保管には注意が必要です。屋外の物置なども熱がこもりやすいので、なるべく避けた方が良いでしょう。
保管場所としては、雨風にさらされず、風通しの良い涼しい屋内が理想的です。ホームセンターなどに売っている収納ボックスを使用する際も同様に、涼しい日陰を選ぶようにします。また、保管時には、ポリタンクを黒のゴミ袋などで包んでおくと、紫外線や空気による劣化をより防ぎやすくなります。
保管容器は法令に適合したものを選ぶ
灯油の運搬や保管容器は、消防法令によって強度や材質が指定されています。飲料水用のペットボトルや水用ポリ容器などで保管するのは絶対に避けて、法令を守った適切な容器を選んでください。
灯油は揮発しやすく静電気が発生しやすいため、専用容器は高密度ポリエチレンで作られています。消防法に則った規格の容器は、JISマークや危険物保安技術協会、日本ポリエチレンブロー製品工業会などの表示がされています。海外で製造されたものであっても、製造元がきちんとしている場合は日本での販売の際に認証を受けているので確認しておきましょう。
灯油を保管する際の注意点
灯油は危険物なので、取り扱いや保管には注意が必要です。安全に保管するために、以下の注意点を守るようにしましょう。
火気の近くでは保管しない
灯油は引火性液体であり、危険物に指定されています。そのため、使用する際だけではなく保管時も、コンロやストーブなどの火気から離した保管で引火防止を徹底しましょう。火気から離す距離は、2メートル以上が目安です。
専用容器にガソリンや軽油を入れない
灯油専用容器には、必ず灯油だけを入れるようにします。灯油専用容器は灯油専用として性能試験に合格しているため、性質の異なるガソリンや軽油を入れて保管することはできません。灯油専用容器にガソリンや軽油を入れると容器が変形・変質し、漏れや火災の原因になるおそれがあります。
容器の蓋は完全に閉める
灯油を安全に保管するためにも、容器の蓋はしっかりと閉めるようにしましょう。蓋がしっかりと閉まっていないと、雨や結露で水が混入して灯油が劣化したり、可燃性蒸気の漏れによって火気や静電気で引火したりするおそれがあります。補給用のノズルやポンプは取り付けたままにせず、必ず密栓してから保管してください。
ポリタンクは定期的に買い替える
灯油を保管するポリタンクも、長期間使用すると劣化します。一般的に耐用年数は約5年とされていて、それ以上使用すると漏れや火災のリスクが高まります。直射日光や過酷な環境下で保管している場合はさらに劣化が早まる可能性があるため、早めに交換する方が安全です。
灯油の使用期限
灯油に明確な使用期限は指定されていませんが、石油業界では6ヵ月を使用推奨期間としています。また、国民生活センターでは、前シーズンから持ち越した灯油の使用は避けるように呼びかけています。長期間保管すると日光や熱によって変質したり、水などの混入で不良灯油になる可能性があるためです。
不良灯油を使用すると、異臭の発生や、緊急消火ボタンを押しても消火しないといった不具合が起こるおそれがあります。安全のためにも持ち越し灯油は使用せず、シーズンごとに使い切るようにしましょう。
不良灯油の見分け方
成分が変質したり水やゴミが混入した灯油は、不良灯油と呼ばれています。事故が起こるのを防ぐためにも、保管した灯油を使用する前に状態を確認するようにしてください。
変質灯油は色や臭いをチェック
変質灯油とは、成分の変質などにより変色や臭いが発生している灯油のことを指します。灯油を透明な容器に入れて、色や臭いを確認してみてください。本来の灯油は無色透明ですが、劣化すると黄色や茶色に変色している場合があります。また、臭いは灯油特有のものではなく、酸っぱさを感じやすくなるでしょう。ただし、保管状態によっては色が着いていなくても変質灯油になっている場合もあります。
不純灯油は目視でチェック
不純灯油とは、水や異種の油、ゴミなどが混入した灯油のことです。変質灯油と同様に透明の容器に灯油を入れて、目視でゴミや水が混入していないかチェックしてみましょう。水は灯油と分離して底に溜まるため、容器の底をよく確認するのがポイントです。
油は灯油に混ざってしまうため、見分けるのが難しいでしょう。機械油や軽油などが混入していると使用に危険を伴うため、他の油を入れたことのある容器に灯油を入れてしまった場合の使用は避けるのが安全です。
余った灯油の処分方法
ガソリンスタンドや灯油販売店では、余った灯油の引き取りを断る場合があります。そのためシーズン中の使い切りを推奨しています。余った灯油の処分方法を紹介します。
少量であれば使い切る
余った灯油が少量の場合は、石油ストーブや石油ファンヒーターなどの暖房器具で使い切ってしまうのがおすすめです。防寒だけではなく、暖房器具を設置している部屋に洗濯物を干せば、乾燥機代わりとして活用できます。火災を防ぐために、洗濯物は必ず暖房器具から離して干すようにしましょう。自分だけで使い切れない場合は、知り合いに譲るのも一つの方法です。
不良品回収業者や便利屋に依頼する
不用品回収業者や便利屋への依頼は、費用が必要ですが灯油を処分する手間が少なくて済みます。灯油の処分代行サービスを行っている不用品回収業者や便利屋は、自宅まで引き取りに来てくれるため自分で灯油を運ぶ必要もありません。出張作業費や回収料金は業者によって異なるため、電話やメールで事前に確認するのがおすすめです。
災害時の備えに灯油は1缶多めの保管がおすすめ
灯油をプラス1缶保管しておくと、災害時にライフラインが絶たれても石油コンロや石油ストーブが使えます。災害で物流が停滞すると、燃料や灯油を買い求める人がガソリンスタンドに殺到するといったパニックバイが起こりやすくなります。災害発生時の混乱を回避できるだけではなく、長時間暖をとれるため安心度が高まるでしょう。
また、灯油プラス1缶に合わせて、車の燃料を日ごろから満タンにしておくと、より心強い備えになります。
正しい保管方法で灯油の劣化や事故を予防しよう
灯油は直射日光や高温の場所を避け、法令を守った専用の容器で保管するのが基本。トラブルや事故を避けるためにも、前シーズンから持ち越した灯油は使わずに処分するようにしましょう。ここで紹介した内容を参考に、安全に灯油を保管してください。
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