突然の災害に備えるための1週間分の非常食リスト|食品選びや保管のコツも紹介
災害はいつ起こるか分からないからこそ、常に備えておきたいもの。本記事では備蓄食料に必要とされる1週間分の食品リストを紹介します。子どもや高齢者がいる家庭で工夫することや、備蓄に向いた食料の種類や選び方、日常の買い物の延長で行える備蓄方法「ローリングストック」実践のコツもチェックしましょう。
災害時に備える備蓄食料の基礎知識
自然災害が発生した際、電気や水道、ガスといったライフラインが停止する可能性があります。こうした状況に備えるためには、十分な備蓄食料の確保が欠かせません。最低限、どれくらいの食料を用意するべきか、そして選び方のポイントを解説します。
非常食と備蓄食料の違い
非常食とは防災ポーチや防災リュックに入れて持ち運べる程度の量で、緊急時のエネルギーを補給するものです。これに対して備蓄食料とは、長期間にわたる被災生活のために備える食料のこと。ライフラインのストップに備え、1週間分を目安に準備します。
1人あたり1週間分が必要
従来、備蓄食料に必要なのは3日分とされていましたが、最近では1週間分の備蓄が推奨されるようになりました。過去の災害事例からも、物流の混乱やライフラインの復旧に時間がかかるケースが見られます。東日本大震災では災害発生後3日目以降にようやく食料が調達できたという地域もありました。
まず揃えたいもの
備蓄食料の準備を始める際、まずは以下の必需品を揃えることから始めましょう。米や水など、生活に欠かせない物がどれくらい必要なのか、目安にしてください。
■米
2キロの米は、水と熱源があれば約27食分になります(1食あたり0.5合=75gとした場合)。
■缶詰やレトルト食品
調理不要で、そのまま食べられる食品を選びましょう。これにより、調理器具や燃料の節約ができます。
■水
1人あたり1日1リットルの飲料水が必要です。調理用の水を含めると、1日3リットルが目安となります。
■カセットコンロ電気やガスが使えない場合を想定して、カセットコンロとガスボンベ、または灯油コンロと灯油を準備しましょう。冬場は石油ストーブがあれば電気を使わずに暖が取れ、かつお湯を沸かせます。
食品選びで配慮すべきポイント
長期保存ができる加工食品は塩分が高かったり、食事の内容がワンパターンになったりして栄養が偏りがち。栄養バランスも意識し、被災生活のストレスを和らげられるような工夫をして食品を選びましょう。
■栄養バランス
炭水化物、たんぱく質、ビタミンをバランスよく摂取できるよう工夫が必要です。
■食べ慣れた食品
災害時に普段と異なる食事を摂ると、ストレスや食欲不振を引き起こす可能性があります。普段から食べ慣れた食品を中心に備蓄しましょう。
■バリエーション
なるべく同じ食事が続かないよう、食品にバリエーションを持たせることも重要です。菓子類やジュースなどの嗜好品も取り入れると、食事が楽しみになるでしょう。
1週間分の備蓄食料リスト
大人1人分の備蓄食料リスト
農林水産省のリストを参考にした、大人1人分の備蓄食料リスト(1週間分)は以下の通りです。
必需品 | |
水 | 2リットル×6本×2箱 |
カセットコンロ | 1台 |
カセットボンベ | 6本 |
主食(エネルギー、炭水化物) | |
米 | 2キロ |
乾麺(そうめん、パスタ) | 各1袋 |
カップ麺 | 3個 |
パックご飯 | 3個 |
主菜(タンパク質) | |
レトルト食品 (牛丼の素やカレーなど) | 9個 |
パスタソース | 3個 |
缶詰(肉、魚) | 9缶 |
その他、以下のような食品を準備しましょう。食事の味にバリエーションが生まれ、栄養バランスを整えるのにも役立ちます。
・日持ちする野菜(玉ねぎ、じゃがいもなど)
・梅干し、海苔、乾燥ワカメなど
・調味料
・インスタント味噌汁や即席スープ
・野菜ジュースなど
子どもがいる家庭で工夫すること
子どもがいる家庭では特に、チョコレートやビスケットなどの菓子類も備蓄しておくと、被災生活中の気分転換になります。
また災害時は食物アレルギー対応の食品を入手するのが難しくなることが予想され、避難所の食事や配給物質がアレルギーに対応しているとも限りません。子どもに食物アレルギーがある場合は、アレルギー特定原材料7品目(卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに)不使用のレトルト食品や缶詰を選ぶなどして対策しましょう。
高齢者がいる家庭で工夫すること
食べやすさや飲み込みやすさを考慮して、おかゆやゼリー状の食品を備えておくと安心です。長期保存が可能なレトルト食品は塩分が高い傾向があるため、減塩タイプを選ぶことをおすすめします。
またカレーなど味の濃い食べ物は、元気がある時は食べられるものの、疲れて気持ちが落ち込みやすい被災生活では喉を通りにくくなるかもしれません。食欲が落ちた時にも飲みやすい野菜ジュースや、普段食べ慣れている味に近い食品を選ぶことも大切です。
普段の買い物の延長で行う備蓄方法「ローリングストック」のコツ
1週間分の備蓄食料を保管するには、ある程度のスペースが必要です。そこでおすすめしたいのが、普段食べている食料品等を多めに買い置きして災害時に使い回す備蓄法、ローリングストックという備蓄法です。保管方法や続けるコツも紹介します。
ローリングストックとは
普段の買い物で少し多めに購入した食料を、消費しつつ備蓄していく方法です。特別な準備が必要なく、日常の延長で行えるため、手軽に取り組めます。
普段から食べ慣れている食品を多めに買い置きし、食べたら買い足して…と、常に一定量の食料を家に備蓄する方法です。普段から食べ慣れている食品が手元に十分あるというのは、心の安心にもつながります。また特別な備蓄用食品を買うわけではなく、普段の買い物の範囲で良く、買い置きした食品を置くスペースを少し増やすだけで済みます。
賞味期限が近いものから使っていくため、いつも賞味期限に余裕がある食品を備蓄できるのもメリットです。
取り出しやすいところに集めて保管する
ローリングストックの食品は1ヵ所にまとめて保管するのがおすすめです。いざという時に取り出しにくいところにあると探すのに手間がかかり、保管したことも忘れがちです。キッチンやパントリーなど目につきやすい場所に置いておけば残量が分かり、普段から意識的に補充できます。ただ、湿気の多いシンク下は食品の保管には向かないので避けてください。
管理しやすい方法で維持する
ローリングストックを維持するコツは、食べたら同じ分だけ購入し、一定量を常に備蓄できている状態を習慣化すること。いざ食べようと思ったら賞味期限切れだったというケースを防ぐため、賞味期限の管理が大切です。
例えば食品を立てて収納して残量を見やすくする、パッケージの目につく位置に賞味期限を書き入れて保管する、スマートフォンのカレンダー機能を使って賞味期限を管理するなどの方法があります。
賞味期限が近い物を手に取りやすい手前に配置し、手前から使っていくというルールを家庭で共有し、ローリングストックを維持しましょう。
食品+燃料の備蓄も忘れずに
食料の備蓄に加えて意識したいのが、燃料の備蓄です。防災習慣にしたい「満タン&灯油プラス1缶運動」を紹介します。
満タン&灯油プラス1缶を心がける
大規模災害発生直後には燃料が入手困難になることがあります。日頃から、「満タン&灯油プラス1缶運動」を実践することが大切です。これは車の燃料メーターが半分程度になったら満タンにしたり、灯油を1缶多めに保管したりする習慣を推奨する運動のこと。災害時の安心度も高まるので、ホームタンクがある地域でも、灯油を1缶多めに持っておくのを習慣にしましょう。
備蓄食料は家族の人数×1週間分を目安に
備蓄食料の目安は1人あたり1週間分を目安に準備します。食べやすさや栄養面、子どもや高齢者への配慮をして選ぶことが大切です。日頃からローリングストックや「満タン&灯油プラス1缶運動」を実践して、災害時にも安心して対応できる準備を進めましょう。
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