予防できる?線状降水帯による車両被害から身を守る方法
長時間にわたって雨が降り続ける線状降水帯が発生した際は、車の運転リスクが高まります。運転中に大雨に見舞われた時は、減速してヘッドライトを点けて走行しましょう。また、早めの避難や事前対策で車両被害を予防することも大切。運転中の対処法やお出かけ前にできる対策などを紹介します。
線状降水帯とは
大雨が長時間続く線状降水帯は、道路の冠水や河川の氾濫、土砂災害などを引き起こす可能性があります。まずは線状降水帯の特徴や、運転時のリスクが上がる雨量について解説します。
線状降水帯の特徴
線状降水帯とは、雨雲(積乱雲)が連続して発生し、帯のように連なって伸びる強い降水域のことです。線状降水帯が発生すると広い範囲で長時間強い雨が降り続けるため、洪水や土砂災害が起こりやすくなります。気象庁が線状降水帯の予報を発表するようになったのは2021年からですが、発生条件については未解明の部分が多いため、正確な予想は難しいと言われています。
運転リスクが上がる雨量
1時間あたりの雨量が20〜30mm以上になると、運転時のリスクが上がります。降水量による運転時の影響は以下の通りです。
- 1時間雨量20mm以上〜30mm未満の強い雨:ワイパーを速くしても前方が見づらくなる
- 1時間雨量30mm以上〜50mm未満の激しい雨:タイヤが滑ってブレーキが効きにくくなるハイドロプレーニング現象が起こる
- 1時間雨量50mm以上〜80mm未満の非常に激しい雨:車の運転は危険
- 1時間雨量80mm以上の猛烈な雨:車の運転は非常に危険
道路の冠水による車への影響
大雨による河川の氾濫などの影響で、道路が短時間で冠水する場合があります。浸水深が大きくなると自動車の走行に支障を来たすだけではなく、避難も難しくなります。
<浸水深による車への影響>
- 浸水深10〜30cm:ブレーキ性能が低下。車を安全な場所へ移動させる必要がある。
- 浸水深30〜50cm:エンジンが停止。車から脱出を図る必要がある。
- 浸水深50㎝以上:パワーウィンドウが開かず、車に閉じ込められてしまう。車が浮き、流される危険がある。
出典:国土交通省 川の防災情報
車の運転中に線状降水帯に入ってしまった時の対処法
車での外出中に線状降水帯やゲリラ豪雨などに遭遇した時は、事故を避けるためにも落ち着いた運転を心がけます。運転が不安な時は、早めに避難できる場所を見つけて車を停車させましょう。
ヘッドライト点灯・減速で走行する
雨や水しぶきの影響で視界が悪くなるため、昼間でもヘッドライトを点灯させて周囲に車の存在を知らせるようにしましょう。前の車との車間距離を十分に開けて、スピードを落として走行することも重要です。雨天時は車がスリップしやすいため、急ハンドルや急ブレーキといった運転は避けるようにしてください。路肩に停車する場合はハザードランプを点け、停車中は後続車の追突を避けるためにテールランプとブレーキランプを点灯させましょう。
危険な道の走行は避ける
走行中はラジオやカーナビなどで常に道路状況を確認し、冠水が進んでいる道路を避けるようにします。アンダーパスや低地に位置する道路は冠水しやすいため、通行規制がされていなくても迂回した方が良いでしょう。増水しているかもしれない川沿いの道や、土砂崩れの可能性がある山間部も避けるとより安全です。
安全な場所に避難する
大雨の走行に不安を感じたり、ワイパーを作動していても対応できないと感じたりした時は、安全な場所に避難しましょう。高速道路であれば、最寄りのサービスエリアやパーキングエリアで停車します。一般道の場合は、低地や窪地は避け、高台や立体駐車場に停車させると水没のリスクを下げられます。
大雨の影響で車が停止した場合の対処法
冠水路に入ったり車が水没したりしてエンジンが止まってしまった場合は、車からの脱出を図ります。まずはシートベルトを外し、窓が開けられるか試します。エンジンが停まっても電気系統はまだ生きている可能性があるため、ドアより先に窓を開けられるかを確認しましょう。次に、ドアが開くかの確認です。水圧でドアが開けられない時は、窓から脱出します。
窓もドアも開かない場合は、脱出用ハンマーで窓を割ります。脱出用ハンマーがない時は、ヘッドレストを引き抜いて金具のとがった部分を使うなどして脱出を試みましょう。
車でのお出かけ前にできる大雨対策
線状降水帯やゲリラ豪雨などの大雨対策は、外出前にも行えます。気象情報の確認や車の点検をして、車両被害のリスクを小さくしましょう。
気象情報を確認する
天気予報だけではなく、雨雲レーダーのような気象情報WEBサイト・アプリなどで降雨状況や雨雲の動きを確認しておきましょう。少しでも不安に感じる時は、車に乗らない選択をするのも大切です。どうしても車で移動しなければならない場合は、雨雲の動きを見ながらルート変更などの対策を行います。
車の点検をする
雨天時に安全に走行するためには、車のメンテナンスも重要です。特にタイヤの排水性能は安全を大きく左右するポイントになります。タイヤの溝の深さが十分にあるか、空気圧、傷、ひび割れの有無などを徹底して点検しておきましょう。同時に、ワイパーの動きやゴム部分に不具合がないかの確認も行います。
また、ガソリンを満タンにしておくことも忘れてはいけません。大雨での立ち往生や通行止めなど、交通網に影響が出るとガソリンが入手しづらくなる可能性があるため、日ごろから常にガソリンを満タンにしておくと安心です。
防災グッズを用意する
長時間停車しなければならない事態に備えて、防災グッズを積んでおくのもおすすめです。車が水没した時に速やかに脱出ができるように、脱出用ハンマーは常備しておきます。加えて、防寒用の衣類や携帯トイレ、常温保存ができる水や食料もあると理想的です。
大雨洪水警報が発令された時にとるべき行動と注意点
大雨洪水警報が発令された時は、車を高台などに避難させておきましょう。まだ運転できるからといって、車で避難をするのは危険です。落ち着いた行動を心がけるようにしましょう。
ハザードマップを確認する
自分がいる地域のハザードマップを確認し、浸水や土砂災害のおそれがある場所を把握しておきましょう。浸水の可能性がある場所や海岸、川沿い、急傾斜地、崖地には近寄らないようにし、気象情報を確認しながら避難の準備をします。
車を一時避難させる
水没を避けるためにも、車は高台や立体駐車場などに避難させておきましょう。地下駐車場や低地、崖の近くの駐車場は浸水や土砂災害のおそれがあるので避けるようにします。強風による飛来物が心配な場合は、屋根付きの駐車場に避難させます。
車での避難は避ける
大雨洪水警報のような水害時は、車での避難は危険なため避けるようにします。車で避難すると流されたり、陥没した道路に転落したりするおそれがあります。また、エンジンが止まって緊急車両の通行を妨げてしまうかもしれません。やむを得ない場合以外は、車での避難は危険と覚えておきましょう。
線状降水帯発生時の車の運転は細心の注意を
線状降水帯の発生に備えて適切な対策をしておくと、大雨時の車両被害を最小限に抑えられます。運転は無理をせず、なるべく早く安全な場所に避難したり、車での移動を諦めたりといった選択をすることも大事。自分自身や家族の安全を守るためにも、常に最新の気象情報を確認し、安全な運転を心がけましょう。
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