2024/07/26
災害時なくて困ったものは?家庭で揃えるべき防災アイテム8選
災害時には、日常生活では考えもしなかったものが必要になることがあります。以下では災害を経験した人々の声を元に、災害時になくて困ったもの、逆に必要ではなかったものについてまとめました。これらの情報を参考に、災害時の備えを見直してみましょう。
みんなの防災意識や防災に向けた行動は?
旭化成ホームプロダクツ株式会社が2020年に実施した、全国20~60代の700名を対象とした「防災意識と備えに関する調査」では、生活者の防災意識や防災行動、家庭における備えなどの実態が明らかになりました。以下、その内容を紹介します。
備えが十分でないと感じる人が大多数
被災経験の有無にかかわらず、9割の人が「災害に対して、日頃から備えることは大切」と実感しているものの、家庭における災害への備えについては9割近くが「十分ではない」と回答しました。
災害への備えとして具体的に取り組んでいることを聞いたところ、最も多かったのは「食料品、生活用品を備蓄する」(50.7%)でした。また災害への備えに費やしている1年あたりの平均時間は、わずか10.1分という結果でした。これらの回答から、防災意識と実際の防災行動に乖離があることが分かります。
被災経験者が「なくて困ったもの」
被災経験がある人に対して、被災に困ったことを尋ねたところ、多い順に以下の回答が得られました。
・電気、ガスが使えない(照明や家電、スマートフォンが利用できない)56.2%
・情報が届かない(テレビ、ラジオなどによる)(29.2%)
・食料品が足りない(24.2%)
・飲み水/水が足りない(23.7%)
一方で「被災経験がない人が被災時に困ると思うこと」では「水や食料の不足」が上位にのぼりましたが、「情報が届かない」(39.1%)と答えた人は半数に届きませんでした。
防災訓練の必要性
備蓄品や災害対策グッズを準備するほかに、防災訓練をすることも大切な備えになります。同調査でも、9割近くの人が「防災訓練の必要性があると感じている」と回答しています。しかし「防災訓練に5年以内には参加していない」と答えた人が約8割いることが明らかになり、防災訓練を実施している人はまだまだ少ないといえます。
また家庭内で防災対策について話し合う時間は、1年間で10分未満が45.7%、10~30分が33.8%という結果でした。漠然とした防災意識は根付いているものの、行動に移せている人はまだまだ少ないのが現状のようです。
災害時なくて困ったもの|防災リュック
ここからは被災経験がある人が被災時になくて困ったものをランキング形式で紹介します。避難時に欠かせない防災リュックには、次のアイテムを必ず入れておきましょう。
飲料水
災害時にないと最も困るものの1つが飲料水。飲料用、調理用として1人あたりに必要な水の量は、1日3リットルといわれています。自宅備蓄用の2リットルペットボトルに加え、防災リュックには持ち運びしやすい500ミリリットルのペットボトルを入れておきましょう。
飲料用とは別に、食器を洗ったりトイレに流したりする生活用水も必要となります。タンクに水を入れて備蓄したり、水を入れたペットボトルを家のあちこちに置いたりして対策を講じましょう。
現金
停電時には、クレジットカードやキャッシュレス決済が使えなくなります。現金支払いしかできなくなることを想定し、最低限の現金を持っておくことが重要です。釣り銭が少なく済むように100円玉や500円玉、1000円札を多めに用意しておきましょう。
救急セット・常備薬
災害時には、怪我をするリスクが高まります。そのため、ばんそうこうや消毒薬などの救急セット、鎮痛剤などの常備薬を忘れずに準備しておきましょう。常備薬やお薬手帳は、普段から取り出しやすい場所に置くことをおすすめします。
災害時なくて困ったもの|自宅避難用グッズ
災害後、ライフラインの復旧に時間がかかる可能性があります。しばらくの間電気やガスが使えないことも考慮し、自宅で快適に過ごせるように以下のグッズを揃えておきましょう。
情報収集できるもの
TVやインターネットが使えない時は、別の手段で情報収集をする必要があります。その際に活躍するのが、電源がなくても使えるポータブルラジオです。電波が安定しているAMラジオ、そしてFMラジオも聞けるラジオを用意します。なおかつ手回しで充電できるタイプなら、電池が切れても使えて安心です。
懐中電灯・予備の電池や充電器
懐中電灯やラジオ、スマートフォンに必要な予備の電池やモバイルバッテリーも忘れずに準備します。また2人以上の家族がいる家庭では、懐中電灯やライトの数も多く必要です。1部屋につき1灯+1人につき1灯を準備するのが望ましいでしょう。
ガソリン・燃料
自宅避難が長期化した場合、燃料の備蓄も重要です。停電時は電気ストーブや床暖房など多くの暖房器具が使えなくなります。そんな時も暖を取れるよう、灯油のストックをしておくと安心です。また自宅で被災した場合、車を一時的な避難所として使うことができます。
車の燃料が半分程度になったら満タンにし、灯油はプラス1缶ストックしておく意識を持ちましょう。
非常食
簡単に食べられる非常食も必需品です。被災生活にはストレスが伴うため、普段から食べ慣れている食品を多めにストックしておき、非常食として食べるのがおすすめです。缶詰やレトルトカレーなど、加熱せずに食べられる食品が良いでしょう。停電時やガスが使えない時に役立つガスボンベとカセットコンロも用意しておきます。
災害時なくて困ったもの|乳幼児・女性・高齢者
基本の防災グッズに加えて、乳幼児や女性、高齢者がいる家庭では以下のものを揃えておくことが望ましいでしょう。災害時は物流がストップする可能性があるため、日頃からよく使う必需品は多めにストックすることをおすすめします。
乳幼児
1日に何枚も使うおむつは圧縮袋に入れてコンパクトにし、1ヵ月分ほどを準備しましょう。災害時には、お湯を沸かさずにそのまま飲める液体ミルクも役立ちます。バスタオルはおむつ替えシートや寝具としても使え、いろいろな用途に活用できます。
女性
生理用品は最低1クール分をストックしておきます。衣服を十分に洗濯できない時にも、ナプキンをつけて下着を着用すれば快適に過ごせるでしょう。中が見えないサニタリー用のゴミ袋や、生理痛をやわらげる鎮痛剤も忘れずに用意します。化粧水や乳液などの機能を備えたオールインワンタイプのスキンケア製品も便利です。
高齢者
高齢者がいる家庭では、紙おむつや使い捨てトイレが必須です。普段は使わない人でも、災害時は足を怪我したり、避難所のトイレが混雑していたり、トイレに行くのが困難な状況も想定されます。念のために準備しておくことをおすすめします。入れ歯洗浄剤は、水がなくても使えるタイプを用意しましょう。
実際の災害では必要なかったもの
非常用に準備していたものの、実際の災害では使えなかったり、必要なかったりするものもあります。以下をチェックして、災害が起きた環境で本当に使いやすいものを揃えましょう。
食べにくい非常食
インスタントのカップ麺は、電気やガスが止まってお湯が沸かせずに食べられなかったというケースがありました。缶詰やレトルト食品など、加熱せずに食べられる食品のほうが防災用の備えには向いています。乾パンも長期保存ができるためポピュラーですが、食べるとのどが渇きやすいデメリットがあります。
使いにくい/使う場面がなかったグッズ
毛布は防災リュックに入れるには重くてかさばり、避難行動の妨げにもなりかねません。折りたためるアルミ製の防寒シートがおすすめです。
ロウソクは照明として使えますが、燃え移るリスクもあるため、安全性を考慮すると手回し充電式の懐中電灯やランタンを用意しておくほうが良いでしょう。
ティッシュペーパーも、水に流せずに厚みがあり、かさばって使いにくいという声があります。災害用には水に流せるトイレットペーパーを携帯するのがおすすめです。ロールをギュッとつぶして中の芯を抜き取れば、コンパクトになります。
ロープも市販の防災リュックに入っていることが多いですが、実際に使う場面はなかなかありません。
電池式のラジオや懐中電灯も、電池を入れたままにしていて中の電池が腐食して使えないというケースがあります。定期的なチェックや予備の電池を一緒に入れること、あるいは手回し充電ができるタイプを備えておくのもおすすめです。
「災害時なくて困ったもの」リストを参考に、十分な備えを
防災の重要性を理解していながら、実際には備えが十分ではないと感じている人は多いようです。災害時に役立つ防災アイテムを揃えることで、いざという時の安心感が得られます。日頃からの準備が非常時に大きな力となることを忘れずに、適切な防災グッズを揃えておきましょう。
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