2024/07/01
車の台風対策に必要なことは?安全確保+ガソリン満タンを実践しよう
台風の到来が近づいてきたら、なるべく早めに車の安全対策やガソリン給油を行いましょう。近年は大災害クラスの台風が多数上陸し、2019年の台風19号による被災車両はおよそ10万台にものぼりました。台風による車への被害にはどんなものがあるのか、台風が来る前にやっておきたい車の対策、また台風後にやるべきことを解説します。
対策の前に!台風による車への被害とは
台風が接近すると、車は強風、冠水、高波・高潮、土砂災害などの被害を受けるリスクがあります。まずは、自分が住む地域や駐車している場所のリスクを確認し、適切な対策を取りましょう。
強風
台風による強風は、車にさまざまな被害をもたらします。例えば横転や飛来物の被害です。気象庁によると、風速20メートルで看板の落下や屋根瓦が飛ぶなどの被害が出始め、風速30メートルを超えるとトラックでさえも横転するほどに。飛来物によって車体に傷がついたり、窓やフロントガラスが割れたりすることもあります。また、近くに置いていた植木鉢や置物が倒れて車が傷つくケースも珍しくありません。
さらに風速35メートルを超えると樹木や電柱、街灯が倒れる危険があり、これらが車に直撃する可能性も考えられます。あるいは道路の上に落ちてきた飛来物を踏んでしまって車のタイヤがパンクしたり、駐車中・走行中の車が横転したりすることも考えられます。
冠水、高波・高潮
大雨や高波・高潮による被害も無視できません。特に川や海の近くで高波・高潮が発生すると、車が浸水・水没するリスクがあります。最近の車はある程度の冠水に対応できる仕様ですが、マフラーなどから水が入り込むとエンジンの故障や電気系統のショートが発生する可能性があります。
過去の台風では、高潮が発生して海水に浸かった車が自然発火したこともありました。また車内から水が引いた後も、海水の塩分によって配線や金属の腐食が進んだり、泥水や下水を含んだ水によってシートに雑菌が繁殖したりしてしまうことも。
土砂災害
雨が降り続くと地盤が緩み、土砂災害の危険性が高まります。高速道路などの傾斜面が崩れる可能性もあり、とても危険です。流れてきた土砂に駐車中や走行中の車が巻き込まれるケースも珍しくありません。1982年の統計開始以来、過去最大の土砂災害が発生したのは2019年の台風19号でした。これにより20の都県で合計952件の土砂災害が発生、多くの家や車が被害を受けました。
【車の台風対策】4つのポイント
台風への備えは早めに行うことが重要です。天候が悪化してから車を運転するのは危険なので、台風接近のニュースを見たら速やかに対策を進めましょう。
①車を安全な場所に移動する
台風の接近が予測されるときは、車を安全な場所に移動させることが大切です。大雨による浸水や冠水の恐れがある場所、古い建物や建築現場の近く、周囲に遮蔽物が少ない屋外駐車場などは避け、高台や有料の立体駐車場などを選びましょう。パチンコ店やショッピングモールなどの立体駐車場を利用する場合は、避難目的での駐車が可能かを確認してください。事前に自治体が発行しているハザードマップをチェックして、冠水や土砂崩れの危険がない場所を確認しておくことも大切です。
もしも安全な場所が見つからない場合や、すでに天候が悪化している場合は、車をジャッキアップして浸水を防ぐ方法もあります。安全のため、必ず平らなコンクリートの上で行いましょう。
②飛来物の対策をする
駐車スペースの近くの安全確保も大切です。車の近くに風で吹き飛ばされそうなものがあれば移動させましょう。自宅駐車場の場合、自転車やバケツ、植木鉢なども別の場所へ移動させておきます。またフロントガラスが割れないように毛布を被せたり、車体に毛布やカバーをかけるのも良いアイディアです。ただし風で飛んでいかないよう、ロープや紐を巻き付けてしっかり固定してください。
③なるべく運転しない
安全な場所へ駐車できたら、台風が過ぎるまで運転は極力避けましょう。強風によって走行中の車が横転する可能性があり、橋の上や海岸沿い、ビルの谷間は特に危険です。また、乗り降りの際に強風でドアが勢いよく開き、ケガや部品の破損の恐れもあります。台風接近時は安全な場所に車を駐車し、やむを得ない状況を除いて運転を控えることが重要です。
④ガソリンを満タンにする
台風襲来のニュースを聞いたら、ガソリンスタンドが混雑する前に満タンにしておきましょう。災害時にはガソリンの給油が難しくなることがあります。ガソリンを満タンにしておけば、停電時に車を一時的な避難場所として利用でき、暖を取ったりスマートフォンを充電したりすることも可能です。
過去の事例に学ぶ「ガソリン満タン」習慣の重要性
これまでに起きた台風や災害では、ガソリンの供給がストップして給油が難しくなったケースが多くありました。また停電によって家の中で冷房や暖房が使えず、たくさんの人が車の中で夜を明かしたことも。過去の事例から、ガソリンを満タンにしておくことの大切さを再認識しましょう。
①給油が困難になったケース
台風ではありませんが、2011年の東日本大震災直後には多くのガソリンスタンドが閉鎖され、燃料を求める長蛇の列ができました。2018年に近畿地方を襲った台風21号では、関西空港が浸水して交通インフラに影響し、ガソリン供給が一時的に困難になったほか、2023年の台風では、鹿児島で船舶が湾内に入れず、地域のガソリンスタンドが在庫不足に陥ったこともありました。
このように災害時にはガソリンの給油が難しくなることを想定し、前もって給油しておくことが大切です。
②停電時に車で過ごしたケース
2018年に近畿地方に到来した台風21号、千葉県に大きな被害をもたらした2019年の台風15号では大規模停電が発生し、人々は冷房を求めて車内のエアコンで暑さを凌ぎました。
また自宅が被害を受けた場合や停電時などは、車が一時的な避難場所になります。2016年の熊本地震では余震が続く中、多くの人が車内で寝泊まりすることを選びました。ガソリンさえあれば暖房、冷房をつけたり、スマートフォンの充電などもできたりと、快適に過ごすことができるでしょう。ただし、原則は避難所への徒歩避難が推奨されています。
「満タン&灯油プラス1缶運動」を習慣に
台風だけに限らず、防災の観点から常にガソリン満タンや灯油を1缶多めに備蓄していくことを推奨する運動が「満タン&灯油プラス1缶運動」です。災害発生時の安心のために、普段から車の燃料メーターが半分程度になったら満タン、灯油は1缶多めに備えるよう心がけたいものです。
「【防災グッズ】本当に必要なもの7選|災害に備えて家庭で行うべき対策も」
【車の台風対策】過ぎ去った後にやること2つ
無事台風が去った後も、まだ安心はできません。特に冠水、浸水を受けた車は非常に危険なため、自分でエンジンをかけないでください。車のダメージを最小限にするため速やかに洗車して、損害を受けた場合は保険請求を進めます。
①冠水、浸水した場合はエンジンをかけない
車内に水や土砂が入り込んだ状態でエンジンをかけると、ショートしやすくなり、発火・爆発の危険性が高まって大変危険です。見た目には損傷がなくても、冠水・浸水した車のエンジンをかけるのは止めましょう。
また電気自動車やハイブリッド車は高電圧のバッテリーを搭載しているため、むやみに触れると感電するリスクがあります。台風後に車内から水が引いたとしても、自分でエンジンをかけないでください。修理に出す場合はJAFや自動車保険のロードサービス、自動車ディーラー、整備工場などに連絡をしてレッカーを依頼します。
②早めに洗車する
強い風雨にさらされた車はとても汚れています。特に台風は海上の水蒸気が巻き上げられて発生するため、雨に海水の塩分が含まれています。そのため車に付着した汚れをそのままにしていると、海水中の塩分により金属部品が劣化しやすくなってしまうのです。
台風の後はできるだけ早く、いつもより丁寧に洗車をしましょう。
<台風後の洗車の手順>
①全体に水を流しかけ、洗剤を含ませたやわらかいスポンジで全体を洗う
②ボディだけはなく、タイヤやホイールなど、手の届く範囲をすべて洗う
③泡が乾く前に、たっぷりの水で洗剤を洗い流す
④ワイパーに付いた汚れもしっかり拭き取る
⑤最後に乾いたタオルで拭き上げる
③損害を受けた場合は保険請求をする
台風による車の損害は、車両保険(契約者そのものへの補償)でカバーできます。補償対象は台風による冠水・浸水、他の車との衝突、土砂災害、飛来物による損害です。
保険商品やプランによって異なりますが、修理費から自己負担分(免責金額)を差し引いた額が保険として支払われます。特に冠水・浸水によって全損(修理が物理的に不可能)となれば満額の車両保険金が支払われます。車両保険に加入しているなら、保険会社に連絡して請求手続きを進めましょう。
対策を万全にして台風から愛車を守ろう
台風による被害から車を守るには、事前の準備が重要です。天候が悪くなる前に安全な場所に移動し、飛来物からの衝撃をカバーできるような対策を取りましょう。また、日頃からガソリンを満タンにしておく「満タン&灯油プラス1缶運動」を習慣にすれば、災害時の安心にもつながります。対策を万全にして、愛車を台風から守ってください。
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